医療法人社団 栄桜会 杉の木歯科医院 SUGINOKI DENTAL OFFICE

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映画・音楽論評

音楽評「四つの最後の歌」~癒しの里を訪ねて~

この曲は一般的には、なじみの薄い作品ですがぜひ耳にしていただきたい気持が勝り紙面を費やすことをご容赦ください。Rシュトラウス(1864~1949年)はドイツ後期ロマン主義の巨匠で、Gマーラーとともに卓越した作曲技法を駆使してリート(歌曲)とオーケストラとの共存を可能にしました。声楽と交響楽の調和は、かのLヴェートーベンの「第九」の成功例がありますがこれは大がかりな合唱団との共演です。

  「四つの最後の歌」は歌曲にもかかわらずオーケストラに気圧されることなく、むしろ相乗効果をもって音楽的にスケールアップさせる事に成功しています 。感極まる高音域の持続は高揚の固定源つまり扇の・・・かなめであり、そしてオーケストラとともに末広がりに展開してゆくのです。この作品は亡くなる前の1948年に作曲されました。八十四歳の重ねられた年輪が、みずみずしい感性と泉のように湧き出る閃きを四つの歌曲に圧縮させることができたのです。クラシック音楽もこの時代になると当時の作曲家自身の演奏記録や正確な資料が残されていて《古典音楽》に漂う古めかしさからは解放される(と思うのだが)。歌詞の題名は「春」「9月」「眠りにつくとき」「夕映えに」で、最初の三曲はHヘッセ、四曲目はJアンヒェンドルフの詩です。詩は新世紀の感覚からは古色蒼然としています。だが、なんと陶酔的な音の美しさは詩を高潔な響きに変えさせることなのだろうか!

 そういった感動がRシュトラウスによってもたらされるのです。歌詞はもちろんドイツ語でありますが、優れた歌曲作品は外国語の壁を越えて魂を振動させるのです。詩の内容は「春」を除きすべて死です。でも感傷的ではない。さりとて永遠の生命を謳歌する壮大な音楽でもない。そして恐怖もない。やすらぎにみちている。聴き終えて深いため息をもたらすのです。彼は翌年、黄泉の世界に旅立ちますが残された者へのメッセージを音に託したのでしょう。

  ソプラノのEシュワルツコップとGセル指揮の演奏(1965年録音TOCE-59091)はこの作品を世界に広しめた第一の推薦盤です。声楽と管弦楽の完全無比な演奏は、すなわち生死を越えた生命の輪郭を可能な限り伝えることなのです。この歌手の強い個性は音楽表現の大きさとなり、説得力のある精神世界をひろげています。GヤノビッツとHカラヤン指揮との組み合わせは(1985年録音UCCG-3316)、繊細なソプラノの声質と管弦楽の美しい弱音とがあたかも絹の織物のように絡み合う様は絶品。小さな命もその翼を広げることができる世界があるのだと気高く訴えているようです。